臨床能力と臨床実習指導者としての能力は比例するのか?

臨床能力(療法士としての技術)と臨床実習指導者としての能力(指導する能力)は一概には比例しない

私はこう考えていますが、皆さんはどうお感じでしょうか?

 

 

療法士として技術が卓越している事は素晴らしい事であり、患者さんから貴重なお金と時間を頂いている以上、技術や知識は研鑽し続けるべきだと考えます

 

ただし、研鑽している理由が患者さんの為でなく、自己満足(自分に酔っている)なのであれば違うなと思いますが・・・

 

比例しないと感じる部分を私なりにプロ野球に例えてみようと思います

 

読売巨人軍の長嶋茂雄監督

 

皆さんご存知かと思いますが、脳梗塞から見事に復活され(療法士の皆さんここは流して下さい)国民栄誉賞を受賞されたプロ野球界を代表するスーパースター

 

監督としても過去に12人しかいない1000勝を達成している監督です

 

最近、長嶋監督と共に国民栄誉賞を受賞された松井秀喜選手の『不動心』という書籍を読んでいるのですが、その指導方法はかなり変わっています

 

電話越しに松井選手のスイングの指導をしたというのは有名な話です

 

スイングの音を聞き『それだ!!』と言われた松井選手は翌日ホームランを打っているという嘘みたいな本当の話です

 

『ビュンと振れ』

『もっとバーンと』

 

といった感じの指導が多かったそうです

 

要するに野村監督を代表とする理論派の監督ではなく、感覚の天才(もちろん相当の努力はされているはずです)なのでしょうね

 

 息子の長嶋一茂さんが『松井選手は唯一のオヤジの理解者』という事も言われていたそうです

 

つまり、プロ野球選手として凄まじい能力の持ち主であるにも関わらず、それを伝える能力は少し不足していたという事ではないでしょうか?

 

一方でプロ野球界には金森栄治さんという選手もいました

 

プロ野球ファンなら『デッドボール(死球)』で有名ですが、金森選手はプロ野球選手当時よりもコーチになってから才能が開花しました

 

自らの打撃理論を携えて5球団を渡り歩き、ロッテが『史上最強の下剋上』(日本一)を起こした時の打撃コーチでもあります

 

プロ野球選手としては決して華々しい結果は残せていません(ただし1000試合出場しています)でしたが、自らの考えや技術や知識を伝える事に関しては卓越した能力を持っていた訳です

 

今回は長嶋監督と金森選手で例えてみましたが、素晴らしい技術を持ち、上手く伝える事も出来る指導者は多くいるでしょう

 

一方で、療法士は職業柄自己研鑽には熱心ですが、後輩指導にはあまり興味を示さない事が多いのも事実ではないでしょうか?

 

その結果、臨床スキルは高いけど、上手く伝える事は出来ない・・・

それは非常にもったいない事だと思いませんか?

 

逆に教えるのはとても上手いけど、実践能力がない

これも全くもって説得力がなくなってしまいます

 

私は自らの指導能力が優れていると感じた事はありません

でも自らの経験から実習生達に伝えておきたい事はある

 

その想いを伝える為に『どの様に伝えればより伝わるのか?』を意識しています

 

実習生に上手く伝える事が出来るという事は結果として、後輩指導だけでなく患者さん、ご家族さんへの説明にも活かされると私は感じています

 

今よりも少しだけ『伝え方』を意識してみませんか?