高齢者医療に関わる者として大切にしたい事

先日、大阪大学大学院医学系

研究科教授の竹屋泰先生の講演

を聴かせて頂きました

 

テーマは『コロナ渦における

認知症とフレイル』

 

講演の中で高齢者医療で守る

べきものとして

 

『生命を守る』

『生活を守る』

『尊厳を守る』

 

3つが掲げられていました

 

多くの人が元気に長生き

したいと思っている事でしょう

 

多くの人が美味しい物を好きな

だけ食べ、美味しいお酒を飲み

たいと思っている事でしょう

 

そして、多くの人がその意思

決定を自分でしたいと思って

いる

 

でもその3全てを守る事は

『極めて難しい』と竹屋先生は

話されていました

 

好きな物をお腹一杯食べたい、

毎日の晩酌だけは止められない

(『生活を守る』)

 

そういった生活を続けている

規則正しい生活を続けている人

と比べると、どうしても

『生命を守る』という部分に

歪みが生じる可能性が出て

来ます

 

その2つのバランスをいかに

自分で意思決定する(『尊

を守る』)のかが大切になって

来ると竹屋先生は話されて

いました

 

あくまでも意思決定するのは

患者さんであり、利用者さんの

はずですが、私を含む医療介護

従事者の中には無意識の内に

 

自らの価値観を患者さんや利用

者さんに押しつけてしまって

いる事もあるのではないで

しょうか?

 

医療介護従事者として伝える

べき事は伝えなければなり

ませんが、どうやって生きたい

のかは人によって様々ですよね

 

療法士の仕事は

『リハビリテーション』

 

リハビリテーションとは機能

回復訓練ではなく、その人

らしい生活を支援する事

 

今のままの生活では体調が悪化

したり、病気になるかもしれ

ないという可能性を提示する

必要はあると思いますが、

 

選択する権利は患者さんや

利用者さんにあります

 

例え身体が衰えて来ていても、

認知症があったとしても、人生

の先輩の『尊厳』は大切に

したいと改めて感じました

講演の中では『高齢者は喪失感

を抱えている事が多い』という

事も話されていました

 

高齢になると、仕事を失います

 

仕事に情熱を傾けて来た人に

とって、仕事を失う事は生き

がいを失う事に繋がる可能性も

あります

 

そしてお金を失う(減って来る)

もあれば、友人達も高齢化に

伴い、少しずつ失います

 

高齢になり、認知症になると

今まで出来ていた事が思う様

には出来なくなったりもします

 

例えば、お皿やコップを洗う

を日課(仕事)にしていた方

高齢化に伴い、時折、お皿や

コップを落として割る様に

なっ

 

家族としては

(危ないから)ありがとう、

これからは私がやるから

ゆっくりしてて』

と声を掛けます

 

家族に全く悪意はないと思い

ますが、高齢者にとっては1

の仕事を失った感覚(喪失感)

になるのかもしれませんね

 

では喪失感を与えない為には

どうすれば良いのでしょうか?

 

その仕事に変わる仕事をお願い

すれば良いのではないで

しょうか?

 

皿洗いが難しくなったので

あれば、洗濯物を畳んでもらう

等、出来ない事ではなく、

出来る事に意識を向ける事も

大切ではないでしょうか?

 

認知症とフレイル

 

誰もが年齢を重ねると向き

合わなければならないテーマ

ですが、共通している事は

 

『社会的孤立』が認知症や

フレイルを生じさせる可能性が

あるという事

 

特に男性は仕事を失うと同時に

人間関係が一気に少なくなり

ますし、社交性という面でも

女性と比べると低い人が多いの

ではないでしょうか?

 

社会的孤立と言っても同居家族

がいればいいという問題でも

ない事が研究でわかっています

 

独居で1人で食事を食べている

人よりも、同居なのに1人で

食事を食べている人(孤食)

方が死亡率が高い事が証明

されています

 

この傾向は女性よりも男性の方

高い事もわかっています

 

更に男性は女性に先立たれると

うつになる確率が上がりますが

女性は男性を先に見送るとうつ

になる確率が下がります

 

要するに男性の方がメンタル的

に弱い生き物である可能性が

高いという事にもなるのでは

ないでしょうか?

 

講演を聴かせて頂き、我々医療

介護従事者が人生の先輩である

高齢者に出来る事は、価値観を

押し付けるのではなく、可能性

を提示して、選択して頂く事

 

対人援助職として、コミュニ

ケーションを大切にしつつ、

ケアプランをご家族や多職種で

考え、社会的孤立を感じにくい

環境設定をする事ではないで

しょうか?

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