臨床実習で指導者からこの言葉
を投げかけられた経験がある人
はいませんか？
『あなたは療法士に向いて
いない』
私もそう言われて苦しんだ
当事者の1人です
指導者は何を根拠にこの言葉を
使われているのでしょうか？
以前に2人の偉人を例えに
書いた記事はこちら
そして、療法士になってから
『言われた通り、本当に私は
療法士に向いていない。。。』
と感じている人はどの程度いる
のでしょうか？
今のご時世、この言葉自体が
パワハラと捉えられても
おかしくないと感じるのは私
だけでしょうか？
指導者は現役の療法士であり、
専門家であるとするならば、
専門家の(実習生の療法士適正)
予想はどれくらい当たるので
しょうか？
実は専門家の予想の精度に
関して、ペンシルバニア大学が
調べてくれています
研究チームは1984年から2003年
にかけて学者、評論家、
ジャーナリスト等248人の
専門家を集め、
3～5年後の経済や企業の状況、
政治等がどうなっているかを
予想させました
専門家の予想が正しいのか
どうかを調べた研究としては、
現時点で最も精度が高い内容
です
最終的に集まった28000超の
予測データ全てをまとめた所、
結果は
『専門家の予想はほぼ50%の
確率でしか当たらない』
というものでした
要するにどれだけ知名度のある
エキスパートであっても、教育
に関する専門家であっても、
予想の精度はコイン投げ(表か
裏)と変わらないという事に
なります
ヤクザ映画で出て来る賭場の
丁半(はんかちょうか的な)と
同じ確率な訳ですね
この研究で集められている専門
家はその道のプロなのだと思い
ますが、臨床実習の指導者
(療法士)は『教育』のプロでは
ない事を踏まえると、もっと
予想の精度は下がる可能性
だって考えられます
そんな2回に1回も当たらない
予想で実習生の将来を否定して
も良いのでしょうか？
私には堂々と『向いていない』
と言い切れる指導者の考えが
全く理解出来ません。。。
少し視点を切り替えて指導者と
して実習生の能力を予想出来
ないのであれば、就職試験で
就職後のパフォーマンスを推し
量る事は出来ないので
しょうか？
この疑問について調べた研究の
中で最も精度が高いのは心理学
者のフランク・シュミットと
ジョン・ハンターによるメタ
分析です
彼らは過去100年におよぶ
職業選択のリサーチから質が
高い数百件を選び、全ての
データをまとめて
『仕事のパフォーマンスは事前
に見抜く事が出来るのか？』
という疑問に大きな結論を
出しました
様々な適性検査の信頼度を高い
順番に並べると、次の様になる
そうです
1位
ワークサンプルテスト(0.54)
2位
IQテスト(0.51)
3位
構造的面接(0.51)
以下
8位
普通の面接(0.38)
9位
前職の経歴(0.18)
10位
学歴(0.1)
ちなみにワークサンプルテスト
は会社の職務に似たタスクを
事前にこなしてもらい、その
成績で評価する方法
構造的面接は『あなたが大きな
目標を達成した時の事を教えて
下さい』の様な過去のパフォー
マンスに関する質問を事前に
いくつか用意しておき、全ての
応募者に同じ問いかけを行う
方法
結果的にはどの手法も就職後の
パフォーマンスを測る役には
立たないそうです
最も精度が高いと評価された
『ワークサンプルテスト』で
すら能力の29%しか説明出来ず
日本の企業でよく使われる
『普通の面接』や『前職の経歴
(今までの職業経験)』等も
パフォーマンスの指標としては
ほぼ使えないとの事
まだまだ優遇されていそうに
感じる『学歴』もデータ上は
全く参考にはなりませんし、
療法士業界にありがちな『有名
な病院で働いていた』という
謎のブランディングも信頼には
値しない感じがしますね
2つの研究結果を踏まえると、
療法士が実習生の能力を正確に
予想するのは難しく、就職試験
においても新卒に限らず、既卒
ですら就職後のパフォーマンス
を測るのは極めて難しいという
事になります
違う視点から考えると、相手の
能力を推し量る事が難しいから
こそ『この人となら一緒に働い
てもいいかな』と感じれる人を
選んだ方が良いのかもしれま
せんね
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