心理学には『ピグマリオン
効果』と言われる心理効果が
あります
アメリカの教育心理学者
ロバート・ローゼンタール氏に
よって提唱されたもので、他者
から期待されると伸びるという
心理効果の事を言い、
別名『教育期待効果』または
『ローゼンタール効果』とも
呼ばれています
同じく他者から期待されない事
によって成績が低下する心理
効果は『ゴーレム効果』と
呼ばれています
ローゼンタールは実験として
『成績の良い生徒達のクラス』
『成績の悪い生徒達のクラス』
を作りました
成績の良い生徒達のクラスの
担任には成績の悪い生徒達だと
伝え、成績の悪い生徒達の
クラスの担任には成績の良い
生徒達だと伝えました
それぞれの担任はこれを信じて
指導した結果
『成績の良い生徒達のクラス』
の生徒は成績が下がり
『成績の悪い生徒達のクラス』
の生徒は成績が上がりました
この実験結果は、期待されると
成績が向上するという
『ピグマリオン効果』とは逆の
期待されないと成績が低下する
『ゴーレム効果』が成り立つ事
を表しています
臨床現場では、部下や実習生へ
の指導が『ゴーレム効果』に
ならない様に注意する必要が
あります
上司や指導者の期待していない
気持ちを示す言動が部下や実習
生のモチベーションを低下させ
その結果、能力が発揮出来ず、
成果が出ないという事態を招く
恐れがあるからです
では、誰からも期待されて
いない人は絶望的なのかという
と、実は『期待されない方が
成功する』という現象も確認
されており、心理学では
『アンダードッグ効果』
(別名『負け犬効果』)
と言われています
負け犬効果に関しては
ペンシルバニア大学が調べた
実験が興味深いです
1つ目の実験は一般的な
サラリーマン371人を対象とし
2つの事を確認しています
①『自分は上司や同僚等から
仕事ぶりを期待されていると
感じますか？』と尋ねる
②全員の上司に『彼らの働き
ぶりはどうですか？』と尋ねる
『ゴーレム効果』から考えると
期待されてない人の方が成績が
悪いかと思いきや、実際には
『俺は負け犬、誰にも成功を
期待されていない』
と感じていた社員の方が上司
からは高く評価されており
(負け犬と感じている人の方が)
パフォーマンスも高かったそう
です
では『負け犬効果』はどんな時
に発動するのでしょうか？
それを調べる為にもう1つ実験
が行われたそうです
2つ目は589人を対象にした
実験で、パソコンで簡単な課題
をやってもらいつつ『第3者に
パフォーマンスを評価してもら
います』と告げ、
その際に参加者を
『期待されている』
『期待されていない』
『まぁまぁ期待されている』
の3グループに分けます
更に参加者達には『あなたの
パフォーマンスをチェックする
のは有能な人です』または
『あなたのパフォーマンスをチ
ェックするのは無能な人です』
というどちらかの情報を
伝えます
要するに『負け犬効果』の発動
条件は周囲の能力に左右される
可能性があるという仮説を
立てた訳です
その結果チェックする人が
『有能』な場合は、参加者の
成績は低下し『無能』な場合は
参加者の成績は向上したそう
です
研究チームはこういった違いが
出る理由を『有能な人』に期待
されなかった場合
『ここで失敗したらあの人に
嫌われてしまう』という気持ち
になり、不安と緊張でパフォー
マンスが低下する
『無能な人』に期待されな
かった場合
『何であんな奴にバカにされな
きゃならんのだ』という気持ち
がモチベーションを高め、
パフォーマンスが向上すると
解釈しています
つまり『負け犬効果』を発動、
活用して相手に成果を出させる
為には『相手がこちらの事を下
に見ている(無能だと思って
いる)』という条件設定が必要
になる訳ですね
それはそれで何となくシャクな
気がするのですが、こういった
関わり方で成果を出す人もいる
という事実は知っておく必要が
あるのかもしれません笑
日々の仕事の中で上司に対して
『仕事出来ないくせにバカに
しやがって！！』
と思っているそこのあなた
実はその感情がモチベーション
になり、パフォーマンスが向上
している可能性があります
出来の悪い上司が人を育てると
いう事も案外起こり得るのかも
しれませんね笑
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